論文紹介
〔過去掲載分 2007年9月〜12月〕
2007年12月5日更新
| 論文タイトル | Molecular Basis of Neonatal Diabetes in Japanese Patients |
| 論文タイトル(訳) | 日本人新生児糖尿病の分子基盤 |
| 抄訳 | 新生児糖尿病は臨床的に一過性糖尿病と永続型糖尿病に大別されてきたが、近年種々の原因遺伝子が同定されている。我々は、日本人患者31例の解析を行い、インプリンティングにより父由来アレルのみが発現する遺伝子領域である染色体6q24のコピー数異常を11例、KCNJ11遺伝子ヘテロ接合性変異を9例、ABCC8遺伝子ヘテロ接合性変異を2例、FOXP3遺伝子ヘミ接合性変異を1例に認めた。一過性糖尿病の中で6q24異常の全ての症例とKCNJ11遺伝子変異の2例が一過性糖尿病に見いだされ、その他の遺伝子異常は永続型糖尿病を呈した。2つのKCNJ11遺伝子変異(R50G、A174G)、2つのABCC8遺伝子変異(A90V、N1122D)、FOXP3遺伝子変異(P367L)が新規変異であった。6q24異常群とKCNJ11遺伝子異常群での臨床像を比較すると、6q24異常は、糖尿病発症は有意に早く、発症時の血糖値は有意に低く、糖尿病性ケトアシドーシスの頻度も有意に少なかった。随伴症状として、6q24異常では発症時巨舌を呈する割合が高く、2例のKCNJ11遺伝子変異はてんかん、発達遅滞を示した。日本人新生児糖尿病では6q24異常、KCNJ11遺伝子異常が主たる原因であり、これらの臨床像の違いを明らかにしたことは、発症時にどの遺伝子解析を第一に行えばよいかの指標となり得ると考えられた。 |
| ジャーナル名 | Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism |
| 巻号 | October 2007|Vol. 92|No. 10|3979-3985 |
| 著者名 (敬称略) | 鈴木 滋、藤枝憲二、他 |
| 所属 | 旭川医科大学小児科学 |
2007年11月2日更新
| 論文タイトル | Fucoganglioside α-fucosyl(α-galactosyl)-GM1: a novel member of lipid membrane microdomain components involved in PC12 cell neuritogenesis |
| 論文タイトル(訳) | フコガングリオシドα-fucosyl(α-galactosyl)-GM1:新規に同定されたPC12細胞の神経突起発生を誘導する脂質膜ラフト成分 |
| 抄訳 | 真核細胞の形質膜の脂質外層板には、コレステロール成分の多い脂質ラフトとよばれるクラスター状の微小区画が形成されている。脂質ラフトにはガングリオシド(シアル酸を含むスフィンゴ糖脂質の総称)が集積していることが知られているが、ラフトのガングリオシドの分子構成やそれらの生物機能の発現機構についての詳細は不明である。本研究では著者によって作製されたラフトに対するモノクローン抗体(PR#1)を用い、ラフトの新たなガングリオシド成分としてフコガングリオシドFuc(Gal)-GM1 {α-fucosyl(α-galactosyl)-GM1}を同定した。PC12細胞膜上のFuc(Gal)-GM1はPR#1抗体によって刺激されるとPC12細胞に細胞質突起の発生をうながし、神経成長因子(NGF)と共役的にはたらいて、PC12細胞の神経細胞への分化を促進した。細胞内シグナル伝達にはSrc族キナーゼのFynとYesが関与していた。この機構は相同のガングリオシドの伝達機構(Trk AとERKSキナーゼが関与する)とはまったく異なっていた。形質膜脂質ラフトはガングリオシドの構成の違いによって、機能的に分化したプラットホームを細胞内シグナル伝達機構に提供していることを示唆している。 |
| ジャーナル名 | Biochemical Journal |
| 巻号 | October 2007|vol. 407|part 1|31-40 |
| 著者名 (敬称略) | 山崎泰広、端川 勉、他 |
| 所属 | 独立行政法人理化学研究所脳科学総合研究センター神経構築技術開発チーム |
2007年10月9日更新
| 論文タイトル | Estrogen Prevents Bone Loss via Estrogen Receptor α and Induction of Fas Ligand in Osteoclasts |
| 論文タイトル(訳) | 女性ホルモンによる骨量維持作用は破骨細胞内の核内受容体と細胞死誘導因子を介する |
| 抄訳 | 高齢化社会に伴い、老年期における骨粗鬆症による生活レベルの低下、特に女性の閉経後骨粗鬆症は大きな社会問題であります。しかしながら、閉経に伴って減少する女性ホルモンの骨組織に対する効果は不明でした。 本論文では、女性ホルモン欠乏によって引き起こされる骨吸収促進による骨減少に着目し、骨組織、特に破骨細胞における核内女性ホルモン受容体(ERα)の機能を、遺伝子改変マウスを用い解析しました。その結果、女性ホルモンが破骨細胞内のERαに結合することによって、Fas Ligandの遺伝子発現が亢進し、アポトーシスを引き起こし、破骨細胞寿命を短縮することで骨吸収を抑制することが、初めて明らかになりました。 本研究の成果は、女性ホルモンの骨組織における重要な作用点が、骨吸収をつかさどる破骨細胞であることを、脊椎動物の生体内で初めて発見したことです。今後の骨粗鬆症治療開発の一助となることが期待されます。 |
| ジャーナル名 | Cell |
| 巻号 | October 2007|vol. 130|issue 5|811-823 |
| 著者名 (敬称略) | 中村 貴、加藤茂明、他 |
| 所属 | 東京大学分子細胞生物学研究所核内情報研究分野 電話 :03-5841-7890 e-mail:uskato@mail.ecc.u-tokyo.ac.jp(加藤茂明) |