論文紹介
〔過去掲載分 2008年5月〜8月〕
2008年8月19日更新
| 論文タイトル | Notch Mediates the Segmental Specification of Angioblasts in Somites and Their Directed Migration toward the Dorsal Aorta in Avian Embryos |
| 論文タイトル(訳) | Notchシグナルによって制御される血管内皮細胞の分節パターンに沿った分化と背側大動脈への移動 |
| 抄訳 | 体内で血管の3次元パターンがどのようにできるかについては、これまでほとんどわかっていなかった。発生中の胚内で最初につくられる背測大動脈の形成過程では、まず側板由来の原始血管がつくられ、その後、体節に由来する細胞が原始血管内に侵入することが知られていた。今回我々は、体節内で出現した血管内皮前駆細胞が、分節パターンに沿ってダイナミックに移動し大動脈形成に寄与することを見いだした。このときNotchシグナルが血管内皮細胞の分化と細胞移動の両方に重要な役割をもつ。またこれらの細胞移動には、原始血管からの誘因作用が関わる。分節パターンに沿って移動した内皮細胞は、最終的には背測大動脈全体に分布するようになる。この論文で報告された知見は、発生過程における血管形成のみならず、成体内での血管新生や、ガン細胞の転移の仕組みの解明につながることが期待される。 |
| ジャーナル名 | Developmental Cell |
| 巻号 | June 10, 2008|Vol. 14|No. 6|890-901 |
| 著者名 (敬称略) | 佐藤有紀、高橋淑子、他 |
| 所属 | 奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科分子発生生物学講座 |
2008年6月11日更新
| 論文タイトル | Male Fertility of Malaria Parasites Is Determined by GCS1, a Plant-Type Reproduction Factor |
| 論文タイトル(訳) | マラリア原虫オス配偶子の受精能は、植物の受精に必須な分子であるGCS1相同分子によって決定づけられている |
| 抄訳 | マラリアはハマダラカによって媒介される病気です。マラリア原虫に感染した血液を蚊が吸血すると、蚊の消化管内腔で原虫の雌雄配偶子が受精し、一個の接合体から数千個もの原虫が蚊の体内で増殖します。マラリア原虫の受精はマラリア伝搬阻止のターゲットとして考えられていますが、この現象がいかなる分子基盤の上に成り立っているのかは全く不明でした。著者らは、ネズミマラリア原虫(Plasmodium berghei)のGENERATIVE CELL SPECIFIC1(PbGCS1)という分子がオス配偶子のみに発現していることを発見しました。PbGCS1の機能を調べるため、PbGCS1遺伝子欠損株を作成し蚊に取り込ませたところ、欠損株は蚊の中で増殖することができず、受精のステップで発育が完全にストップしていることを見つけました。さらに、PbGCS1欠損オス配偶子のみが受精不能であることを突き止めました。オス配偶子に特異的なGCS1の機能は被子植物の受精においてすでに発見されています。つまりマラリア原虫と植物の受精現象は、GCS1という共通因子がオス特異的に機能することで営まれていることを初めて発見しました。今回の発見により、GCS1を基盤とした受精メカニズムの解明と、マラリア原虫の受精過程を攻撃するワクチン開発に新しい光が注がれました。 |
| ジャーナル名 | Current Biology |
| 巻号 | April 22, 2008|Vol. 18|No. 8|607-613 |
| 著者名 (敬称略) | 平井 誠、他 |
| 所属 | 自治医科大学感染・免疫学講座医動物学部門 |
2008年5月7日更新
| 論文タイトル | Risk Factors for Hepatocellular Carcinoma in a Japanese Population: A Nested Case-Control Study |
| 論文タイトル(訳) | 日本人集団における肝細胞癌のリスク因子:コホート内症例対照研究 |
| 抄訳 | 肝細胞癌(HCC)のリスクにおいて生活習慣の影響は重要であるが、B型(HBV)およびC型肝炎ウイルス(HCV)感染を厳密かつ詳細に考慮に入れて、それらの因子間の相乗作用を調査したコホート研究は少ない。我々は、長期追跡を行っている成人健康調査コホートにおいて、HCC診断前の保存血清を用いてコホート内症例対照研究を行った。対象は、224 HCC症例と、その症例に性、年齢、都市、血清保存の時期と方法を一致させ、放射線量に基づくカウンターマッチング法によって選択した644対照例である。HCCの多変量相対リスクは、HBV感染者が45.8、HCV感染者が101、HBVとHCVの重感染者が70.7、エタノール換算40 g/日以上の飲酒者が4.36、HCC診断10年前のBMI>25.0 kg/m2の肥満者が4.57で、いずれも有意であった。さらに肝線維化の程度を調整しても、HBVおよびHCV感染と肥満は、独立したリスク要因として残った。また、HCV感染とBMI増加の間に、HCCリスクにおける有意な相乗的交互作用が認められた。HCCの発症予防のために、過剰体重のコントロールは、慢性肝疾患、特にC型慢性肝炎の人において重要であると思われる。 |
| ジャーナル名 | Cancer Epidemiology Biomarkers & Prevention |
| 巻号 | April 1, 2008|Vol. 17|No. 4|846-854 |
| 著者名 (敬称略) | 大石和佳1、藤原佐枝子1、John B Cologne 2、他 |
| 所属 | 放射線影響研究所 臨床研究部1 同 統計部2 |