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2004年12月

第148号(合併号)Google:学術論文検索エンジン,Google Scholarベータ版を公開/ 英国ラフバラ大学:学術ジャーナル価格動向の報告書を公開

目次

Google:学術論文検索エンジン,Google Scholarベータ版を公開 Share (facebook)
ウェブ検索エンジン大手Googleは本年11月17日,学術論文の検索エンジン
「Google Scholar」を発表した。現在はベータ版として試験的に公開されて
おり,研究者などからのフィードバックを募っている。

 Google Scholarは,査読論文,学位論文,書籍,テクニカルレポート
などの学術情報に特化した検索エンジンで,従来のGoogle検索エンジンと
同様に,任意のキーワードを入力して検索を行うことで,検索結果を関連度の
高い順にリストアップする。論文タイトルにはそれぞれ「Cited by」として,
他の論文に引用された回数が表示されており,被引用論文の一覧へのリンクが
提供されている。

 多くの論文タイトルには,出版社やジャーナルアグリゲータに限らず,プレ
プリントサーバーや大学図書館のOPACなどへ複数のリンクが提供されており,
ユーザーがオンラインでフルテキストを入手できる可能性を高めている。PDF
ファイルなどでフルテキストを提供しているサイトには,論文単位で直接フル
テキストにリンクが貼られている。フルテキストの閲覧権を持たないユーザー
がアクセスした場合には,自動的に無料のアブストラクトページや論文購入
ページなどへ誘導される。また,書籍レコードには「Library Search」への
リンクが提供されており,現在はOCLCの協力のもと,WorldCatによる所蔵
図書館検索が可能である。

 本誌143号「学術論文の検索における最近の動向:Googleの進出」でも紹介
したが,Googleは近年,学術情報に対する検索機能を拡大させており,Ingenta
やExtenzaなどのジャーナルアグリゲータや,CrossRef Searchに参加している
学術出版社のフルテキストデータベースにGoogleクローラーを巡回させ,収録
論文のフルテキスト検索を可能にしていた。今回公開されたGoogle Scholarは,
これらの活動において集積したインデックスを融合させ,より一般的なユーザー
向けに提供するサービスと言える。

 研究者に限らず,商業システムベンダーや図書館もGoogle Scholarの可能性
に関心を寄せている。図書館システムベンダーのEx Librisはすでに,Google
Scholarを同社のリゾルバーであるS・F・Xのターゲットに加えている。また,
アルバータ大学の図書館員であるピーター=ブリンキー氏は,Mozillaのウェブ
ブラウザであるFireFoxの拡張機能を利用することで,Google Scholarの検索
結果から機関内のローカルリゾルバーを介して,閲覧権を有するフルテキスト
へ誘導させる方法を案内している。この方法を用いると,Google Scholar
の検索結果に記載されている書誌事項をもとにOpenURLに準拠したリンクを作成し,
各論文タイトルにローカルリゾルバーへのリンクアイコンを自動的に付与する。
Google Scholarは現在,OpenURLの形式でメタデータを提供していないため,
論文タイトル,出版年および第一著者名でしか論文へのリンクを特定できないが,
ExLibrisでは,より正確な論文単位でのリンクを実現させるため,Google Scholar
をOpenURLに準拠するよう,Googleに働きかけている。

 Google Scholarはその検索システムの機能上,情報の収集を機械的かつ網羅的
に行っているため,検索結果の精度や提供情報の質に限度があることは否めず,
Web of ScienceやSCOPUSなど,人の手によって体系的に構築された学術論文ナビ
ゲーションデータベースとは根本的に異なるものである。ただし,従来までは
ポータルサイトの検索対象に成り得なかった学術論文を顕在化させ,一般のユーザー
にとっても簡単にアクセスできる可能性を広げたGoogleの功績は大きい。Google
Scholarが今後どれだけ研究者にとって有用なツールに成り得るのか,ベータ版の
さらなる改良が期待される。

 なお,米国化学会(ACS)は,Google ScholarがSciFinder Scholarの商標権を
侵害しているとGoogleを提訴しており,今後,Google Scholarの名称が変更される
可能性もある。


<参考資料>
・Google Scholar
http://scholar.google.com/

・ハワイ大学ジャクソ教授によるGoogle Scholar検証結果:
 Peter's Digital Reference Shelf
http://www.galegroup.com/free_resources/reference/peter/dec.htm#googlescholar

・CNET News.com:Google hit with trademark suit over 'Scholar'
http://news.com.com/2100-1030_3-5490293.html


英国ラフバラ大学:学術ジャーナル価格動向の報告書を公開 Share (facebook)
英国ラフバラ大学の図書館情報統計部門(LISU)は本年10月7日,主要出版社
の学術ジャーナルにおける価格動向についてまとめた報告書,「Scholarly
Journal Prices: Selected Trends and Comparisons」を発表した。

 毎年,高騰する学術ジャーナル価格に対して批判が集まる中,客観的な
数値データの不足が指摘されていた。今回発表された報告書は,LISUが
オックスフォード大学出版局の一部門であるオックスフォード・ジャーナル
の要請によりまとめたもので,以下の12の主要学術出版社によるジャーナル
約6,000誌について価格動向を分析している。

・Blackwell Science and Blackwell Publishers
・Cambridge University Press
・Elsevier
・Johns Hopkins University Press
・Kluwer
・Lippincott Williams & Wilkins
・Nature
・Oxford University Press
・Springer
・Sage
・Taylor & Francis
・University of Chicago Press

 当報告書では,まず,2000〜2004年までの5年間における出版社ごとの
ジャーナル平均価格と価格上昇率をまとめ,さらに,ジャーナルを生物化学
やコンピュータ情報学などの6つのカテゴリーに分類し,それぞれの分野に
おける出版社別平均価格などを算出した。また,生物医学系のジャーナル
においてはより詳細な分析を行い,過去5年間と1993年の価格比較,過去
5年間のページ単価,インパクトファクターと価格の相関関係をまとめて
いる。

 報告書によると,出版社によってジャーナル平均価格に大きな差があり,
Cambridge University Pressが£124と最も低く,Elsevierが£781と
最も高かった。また,Elsevierは6つに分類したすべての学術分野において
他社の平均価格を上回った。

 2000年と2004年の価格を比較した価格上昇率では,Sageが93.5%と最も
高く,コンピュータ情報学の分野だけで見ると101.3%とジャーナル価格が
倍以上の数値を示した。しかし,平均価格が最も高かったElsevierの価格
上昇率は36.0%で,Cambridge University Pressの26.5%,Oxford
University Pressの35.8%に次いで,主要12出版社の中では3番目に低かった。

 また,生物医学系ジャーナルにおいて,2003年のジャーナル価格をその
2002年のインパクトファクターで割った価格,つまりインパクトファクター
1ポイントに対する価格を比較したところ,Kluwerが£525と最も高く,
Springerの£470が次に高かった。これに対し,Oxford University Press
が£163と最も低く,「インパクトファクターで算出して最も費用対効果が
高い」と評価された。

 当報告書では,出版社ごとにさらに詳細なデータもまとめており,LISUの
ホームページ上で公開している。オープンアクセスジャーナルによる学術
論文の無料提供の是非が議論される中,各出版社がこの調査結果に対して
どのような反応を示すかが注目される。

<参考文献>
・オックスフォード・ジャーナルホームページ:プレスリリース
http://www3.oup.co.uk/jnls/press/2004/10/07/

・ラフバラ大学図書館情報統計部門(LISU)ホームページ:
Scholarly Journal Prices: Selected Trends and Comparisons
http://www.lboro.ac.uk/departments/dis/lisu/pages/publications/oup.html


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