抄訳
1型自然リンパ球(ILC1)は肝常在性のILCとして発見され、インターフェロン-g(IFN-g)産生能を持つ免疫細胞である。しかし肝臓におけるILC1の生理的・病理的な役割は未だ明らかになっていない。我々は、四塩化炭素(CCl4)投与による急性肝障害マウスモデルにおいて、肝ILC1が活性化しIFN-gを産生する事を見出した。この時、肝NK細胞は活性化していなかった。これら活性化した肝ILC1はCCl4誘導性急性肝障害の軽快に寄与し、このILC1による急性肝障害の保護作用はIFN-g依存的である事が示された。CCl4誘導性急性肝障害の発症時、肝ILC1の活性化とIFN-g産生には活性化受容体DNAM-1が必要である事が示された。また、細胞外ATPがインターロイキン(IL)-12によるILC1のIFN-g産生を促進する事が明らかとなった。更に、活性化ILC1から産生されるIFN-gは、Bcl-xLの発現上昇を介して肝細胞の生存に寄与する事が明らかになった。以上の結果は、ILC1が急性肝障害において保護的な役割を持つ事を示している。