抄訳
食物アレルギーは、生命を脅かす過剰な免疫応答であり、その発症には、腸内細菌叢の病的な構成変化(ディスバイオーシス)が関与していることが知られている。しかし、その詳細なメカニズム、ならびに食物アレルギーが口腔内細菌叢に及ぼす影響については不明な点が多い。本研究では、卵白アルブミンを抗原として食物アレルギーモデルマウスを作製し、その糞便中の生菌をMALDI-ToF-MS法(バイテックMS)で解析して、Citrobacter菌群が顕著に増加していることを発見した。この菌は、マウス腸管上皮細胞株からTh2応答を促進するサイトカインであるIL-33の発現を誘導していた。以上より、食物アレルギーによって腸内で増殖したCitrobacterが、IL-33の産生を介して症状を増悪させていることが示された。また、同マウス口腔内ではIgAとそれに結合する細菌が増加しており、食物アレルギーによって口腔細菌叢も変化することが示唆された。