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2020/01/31

CENP-Aヌクレオソームを含むセントロメアトリヌクレオソームのクライオ電子顕微鏡構造

論文タイトル
Cryo-EM Structures of Centromeric Tri-nucleosomes Containing a Central CENP-A Nucleosome
論文タイトル(訳)
CENP-Aヌクレオソームを含むセントロメアトリヌクレオソームのクライオ電子顕微鏡構造
DOI
10.1016/j.str.2019.10.016
ジャーナル名
Structure
巻号
Structure, Volume 28, Issue 1, P44-53.E4, January 07, 2020
著者名(敬称略)
滝沢 由政、何 承翰、立和名 博昭、胡桃坂 仁志 他
所属
東京大学定量生命化学研究所 胡桃坂研究室

抄訳

ヒストンH3のバリアントであるCENP-Aは、セントロメアを規定するために必要不可欠なエピジェネティックマーカーである。CENP-Aを含むヌクレオソームは、特徴的な構造を有し、セントロメアクロマチンの高次構造を形成すると考えられている。しかし、CENP-Aを含むヌクレオソームによるセントロメアクロマチンの高次構造は、未だ不明な点が多い。本研究では、CENP-Aヌクレオソームを含むセントロメアクロマチンを模倣した試験管内再構成トリヌクレオソームを作製し、三次元構造をクライオ電子顕微鏡解析により決定した。得られた構造より、H3-H3-H3トリヌクレオソームとH3-CENP-A-H3トリヌクレオソームは、それぞれリンカーDNAパスが異なり、中心に位置するCENP-Aヌクレオソームの配向は、同じ位置のH3ヌクレオソームの配向と比べて大きく異なることが分かった。興味深いことに、このCENP-Aヌクレオソームの配向の違いにより、凝集したクロマチンの中で、CENP-Aヌクレオソームは溶液中に露出されることが示唆された。これらの結果は、CENP-Aを含むクロマチンの三次元構造を理解し、多数のH3 ヌクレオソームが存在するセントロメアクロマチンにおいて、セントロメアタンパク質がどのようにCENP-Aヌクレオソームを標的とするのかを説明できるかもしれない。

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