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2020/03/30

Mycoplasma bovis乳房炎におけるウシ単核球の免疫抑制

論文タイトル
Immunosuppression in Cows following Intramammary Infusion of Mycoplasma bovis
論文タイトル(訳)
Mycoplasma bovis乳房炎におけるウシ単核球の免疫抑制
DOI
10.1128/IAI.00521-19
ジャーナル名
Infection and Immunity
巻号
Infection and Immunity  Volume 88, Issue 3
著者名(敬称略)
権平 智、樋口豪紀 他
所属
酪農学園大学 獣医学類 獣医衛生学ユニット

抄訳

Mycoplasma bovisはウシに甚大な経済的損失を招来する病原体である。M. bovis感染症における病態形成過程での免疫応答には不明な点が多く、その詳細は明らかとなっていない。本研究ではM. bovisによる代表的な疾患である乳房炎に着目し、M. bovis乳房炎に対する免疫応答の解明を目的として、ウシ乳腺腔内にM. bovisを注入することで乳房炎モデルを作出しその免疫応答性を評価した。M. bovis注入により乳汁中の体細胞数は顕著に増加し、乳腺腔内で免疫応答が発動することが認められた。しかしながら、M. bovis再刺激による末梢血および乳房リンパ節における単核球の増殖反応は認められなかった。末梢血単核球の網羅的遺伝子発現解析から、自然免疫応答に関連する因子の減少が認められ、また、末梢血および乳汁の単核球においてM. bovis感染により免疫疲弊化因子が増加することが明らかとなった。M. bovisはウシ単核球に対して免疫応答の抑制および免疫抑制因子を増加させることが示唆され、M. bovis感染症におけるウシの病態形成には免疫抑制が要因となることが考えられた。

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