抄訳
1型糖尿病は膵島抗原特異的細胞性免疫による膵β細胞の破壊を介したインスリン分泌不全によって発症すると推測されているが、各病型(急性発症1型:AT1D、緩徐進行1型:SP1D、劇症1型:FT1D)における発症様式と細胞性免疫反応の関連は明らかではない。そこで我々は、病型間で膵島抗原特異的CD4陽性T細胞のフェノタイプの差異を検討した。各病型の患者と健常者より採取した末梢血単核球を4種の膵島抗原ペプチド(GAD65, Preproinsulin (PPI), IGRP, ZnT8)で刺激し、2日後の培養上清中のサイトカイン測定(ex-vivo assay)と、8日後のCD4陽性T細胞中のサイトカイン発現解析(expansion assay)を行った。In-vivo assayでは、AT1DにおけるGAD65特異的なIL-6・IP-10の反応、PPI特異的なIP-10の反応が亢進していた。FT1DではGAD65およびPPI特異的なG-CSFの反応が亢進していた。Expansion assayでは、AT1DにおけるGAD65およびPPI特異的Th1細胞の増加を認め、SP1DではGAD65特異的Th2細胞が増加していた。FT1Dでは全膵島抗原に対するTr1反応が極度に低下していた。これらT細胞フェノタイプの差異が1型糖尿病の発症様式と関連している可能性が示唆された。