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2020/09/10

免疫チェックポイント阻害薬関連下垂体炎のMRI所見

論文タイトル
MRI Findings of Immune Checkpoint Inhibitor–Induced Hypophysitis: Possible Association with Fibrosis
論文タイトル(訳)
免疫チェックポイント阻害薬関連下垂体炎のMRI所見
DOI
10.3174/ajnr.A6692
ジャーナル名
American Journal of Neuroradiology
巻号
American Journal of Neuroradiology Vol. 41, No. 9 (1683-1689)
著者名(敬称略)
黒川 遼、五ノ井 渉 他
所属
東京大学医学部附属病院 放射線科

抄訳

下垂体炎は免疫チェックポイント阻害薬治療による合併症の一つであり、長期的なホルモン補充療法を要する下垂体機能低下症の原因となる。頻度が高く臨床的にも重要な合併症だが、MRIにおける特徴的な画像所見は知られていなかった。本研究では日米の2施設にて悪性黒色腫に対して免疫チェックポイント阻害薬治療を行い、下垂体炎を発症した20症例を後方視的に解析し、MRI所見の特徴やホルモン異常の有無を調べた。その結果、19/20例で下垂体前葉に特徴的な地図状の造影不良域が認められ、同部はT2強調像で主に低信号を示し、造影ダイナミックMRIの撮像された2例では漸増性の造影増強効果を呈した。内分泌学的には期間中に不可逆的であった甲状腺刺激ホルモンと副腎皮質刺激ホルモンの分泌低下が半数以上の症例で認められた。MRIで認められた「T2強調像で低信号を示し漸増性に造影される」という特徴は線維化を示唆する所見であり、免疫チェックポイント阻害薬関連下垂体炎の病態の解明や、その他の原因による下垂体炎・腫瘍との鑑別に有用であると考えられる。

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