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2021/06/08

CX3CL1-CX3CR1シグナルの欠損は、肥満による慢性炎症とインスリン抵抗性を増悪させる

論文タイトル
CX3CL1-CX3CR1 Signaling Deficiency Exacerbates Obesity-induced Inflammation and Insulin Resistance in Male Mice
論文タイトル(訳)
CX3CL1-CX3CR1シグナルの欠損は、肥満による慢性炎症とインスリン抵抗性を増悪させる
DOI
10.1210/endocr/bqab064
ジャーナル名
Endocrinology
巻号
Endocrinology Vol.162 Issue 6 (bqab064)
著者名(敬称略)
永島田 まゆみ 他
所属
金沢大学医薬保健研究域保健学系 医療科学領域 病態検査学講座

抄訳

肥満による慢性炎症とインスリン抵抗性の発症・遷延化において、骨髄から脂肪組織、肝臓等へ単球・マクロファージ等の炎症細胞を浸潤・集積させるケモカインは重要な役割を果たす。40種以上のケモカインの多くは肥満の進展に伴い発現が増加するが、我々は、唯一持続的に発現が減少するケモカインCX3CL1(fractalkine)を見出した。今回、CX3CL1の受容体CX3CR1を欠損したマウスに、高脂肪食による肥満を誘導し(DIO-KO)、慢性炎症、及びインスリン抵抗性の形成におけるCX3CL1-CX3CR1シグナルの役割を検討した。
DIO-KOの代謝表現型解析から、CX3CL1-CX3CR1シグナルの欠損は、脂肪組織に浸潤するマクロファージの極性を抗炎症性M2から炎症惹起性M1優位へとダイナミックにシフトさせ、脂肪組織の炎症を誘導、遷延化し、インスリン抵抗性を増悪させることが明らかとなった。また、肥満に伴い低下したCX3CL1-CX3CR1シグナルの回復は、インスリン抵抗性を減弱させた。以上のことからCX3CL1-CX3CR1シグナルは、肥満における慢性炎症やインスリン抵抗性の発症に深く関与することが示された

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