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2022/02/15

傍腫瘍性舞踏病を呈した胆嚢癌の1例

論文タイトル
Paraneoplastic chorea associated with gallbladder cancer
論文タイトル(訳)
傍腫瘍性舞踏病を呈した胆嚢癌の1例
DOI
10.1136/bcr-2021-247080
ジャーナル名
BMJ Case Reports
巻号
BMJ Case Reports Vol.14 No.12 (2021)
著者名(敬称略)
柳 昌宏 須田 烈史
所属
金沢市立病院 消化器内科

抄訳

症例は81歳女性.1週間前からの左上下肢の投げ出すような不随意運動を主訴に受診した.頭部MRIでは,明らかな異常はなかった.血液検査でも,明らかな異常はなく,各種自己抗体も陰性であったが,腫瘍マーカーのCA19-9が著明に上昇していた.造影CTを撮影したところ,胆嚢腫瘍および肝内にリング状に濃染する多発腫瘤を認めた.多発肝転移を伴う切除不能胆嚢癌と診断し,組織診断のため胆嚢腫瘍に対して超音波内視鏡下穿刺吸引生検を行ったところ,肝様腺癌が検出された.左上下肢の不随意運動については,胆嚢癌の傍腫瘍性神経症候群としての傍腫瘍性舞踏病と診断した.ジェムザール+シスプラチンによる化学療法を開始したところ,腫瘍は縮小し,不随意運動も完全に消失した.傍腫瘍性舞踏病は非常に稀であり,急速に進行し,薬剤に抵抗性であることが多く,症状はしばしば非対称性,片側性である.ステロイドやハロペリドールの有効性も報告されているが,根本治療は背景腫瘍に対する治療(手術や化学療法など)である.成人発症の舞踏運動,特に高齢者や体重減少を伴う症例,片側性の症状を呈する症例では,悪性腫瘍の存在も疑うべきである.

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