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2022/02/14

細胞種により異なるRNAポリメラーゼ転写産物が相分離を介したDBC1核内構造体の形成に関与する

論文タイトル
Distinct RNA polymerase transcripts direct the assembly of phase-separated DBC1 nuclear bodies in different cell lines
論文タイトル(訳)
細胞種により異なるRNAポリメラーゼ転写産物が相分離を介したDBC1核内構造体の形成に関与する
DOI
10.1091/mbc.E21-02-0081
ジャーナル名
Molecular Biology of the Cell
巻号
Molecular Biology of the Cell Volume 32, Issue 21
著者名(敬称略)
萬年 太郎, 廣瀬 哲郎 他
所属
萬年 太郎:立命館大学 生命科学部生命医科学科 プロテオミクス研究室
廣瀬 哲郎:大阪大学大学院 生命機能研究科 RNA生体機能研究室

抄訳

 哺乳類細胞核に存在する様々な核内構造体は、RNA合成やプロセシング、RNP分子装置の生合成の場として知られている。これまでに、特異的なRNAが骨格としていくつかの核内構造体の形成に働いていることが明らかなってきた。今回我々は、RNase感受性を示す2つの核内構造体(大腸がん由来HCT116細胞のDBC1核内構造体[DNB]と子宮頸がん由来HeLa細胞のSam68核内構造体[SNB])が、異なるRNAポリメラーゼ転写産物を骨格として形成されること、さらにDNBとSNBが相分離様の相互作用を介して形成されていることを明らかにした。このことから、これらの核内構造体は相分離を介して相互作用するRNAやタンパク質を変化させることで異なる機能を担っている可能性が示唆された。次にDNBの新規構成因子の探索のため免疫沈降-MS解析をおこない、HNRNPLとHNRNPKを同定した。また、DNB構成因子のsiRNAにより、DBC1とHNRNPLがDNBの形成に必須であることを明らかにした。さらにHNRNPLがDNBの形成にどのように関与しているのか解析した結果、HNRNPLのRNA結合ドメインと天然変性領域が細胞内でのDNB形成とin vitroでの液滴形成に関与していることが明らかになった。このことから、DNB形成にはHNRNPLとRNAやタンパク質との多価相互作用による相分離の誘導が必要であることが示唆された。

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