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2022/02/21

p53の標的因子であるビタミンB2輸送体SLC52A1はミトコンドリア呼吸鎖複合体IIを活性化することで細胞老化を抑制する

論文タイトル
Riboflavin transporter SLC52A1, a target of p53, suppresses cellular senescence by activating mitochondrial complex II
論文タイトル(訳)
p53の標的因子であるビタミンB2輸送体SLC52A1はミトコンドリア呼吸鎖複合体IIを活性化することで細胞老化を抑制する
DOI
10.1091/mbc.E21-05-0262
ジャーナル名
Molecular Biology of the Cell
巻号
Molecular Biology of the Cell Volume 32, Issue 21
著者名(敬称略)
長野 太輝, 鎌田 真司 他
所属
神戸大学バイオシグナル総合研究センター

抄訳

 細胞老化はDNA損傷などのストレスにより誘導される永続的な分裂停止状態である。細胞老化の誘導には転写因子であるp53が重要な役割を担っているが、p53の標的遺伝子の中に細胞老化の抑制に働くものがあるかどうかは不明である。私たちはビタミンB2(リボフラビンとも呼ばれる)の輸送体であるSLC52A1(GPR172B/RFVT1)が細胞老化誘導ストレスに応答してp53依存的に発現誘導されることを以前報告したが、SLC52A1と細胞老化との関連は未解明であった。今回、私たちはSLC52A1がビタミンB2を細胞内に取り込むことで細胞老化を抑制することを見出した。取り込まれたビタミンB2はミトコンドリア呼吸鎖複合体IIを活性化させることにより、ミトコンドリア機能低下時に細胞老化を誘導するAMPK-p53経路を抑制することがわかった。本研究により、SLC52A1はp53の負のフィードバック制御により過剰な細胞老化を抑制することが示された。

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