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2022/03/30

制御されたネクローシス細胞からのDAMPs放出の制御機構

論文タイトル
Regulation of the release of damage-associated molecular patterns from necroptotic cells
論文タイトル(訳)
制御されたネクローシス細胞からのDAMPs放出の制御機構
DOI
10.1042/BCJ20210604
ジャーナル名
Biochemical Journal
巻号
Biochemical Journal Vol.479, No.5 (677-685)
著者名(敬称略)
中野 裕康、村井 晋、森脇 健太
所属
東邦大学 医学部医学科 生化学講座

抄訳

Danger-associated molecular patterns (DAMPs)は、細胞膜の崩壊に伴い細胞内から放出される様々な分子の総称である。DAMPsは本来は細胞内で生理的な機能を持っているものの、一度細胞外に放出されると、本来の細胞内での働きとは異なり、炎症、細胞増殖、組織修復などの様々な生体応答を誘導する。これまでDAMPsは、細胞内でのATPの枯渇や物理的あるいは化学的な障害によって生じた受動的な細胞膜障害の結果、放出されると考えられてきた。しかし最近の研究から早期に細胞膜の崩壊をきたす複数の細胞死(ネクロプトーシス、パイロプトーシス、フェロプトーシス)の存在が報告され、それらの細胞死に伴うDAMPs放出のメカニズムの解明が飛躍的に進展した。本総説では、ネクロプトーシスに伴い生じる細胞膜崩壊がどの様に誘導されるかについての最新の知見の紹介し、さらに我々が最近開発したネクロプトーシスをライブセルでイメージングするためのFRET(Forester Resonance Energy Transfer)バイオセンサー、および1細胞レベルでDAMPsを可視化することを可能にした改変型のLCI-S(Live Cell Imaging for Secretion activity)システムについて紹介した。

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