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2022/04/05

術前診断に成功した肝臓内嚢胞性病変IPNB with invasive carcinomaの一例

論文タイトル
Intraductal papillary neoplasm of bile duct with invasive carcinoma as an intrahepatic cystic lesion, with successful preoperative diagnosis
論文タイトル(訳)
術前診断に成功した肝臓内嚢胞性病変IPNB with invasive carcinomaの一例
DOI
10.1136/bcr-2021-245918
ジャーナル名
BMJ Case Reports
巻号
BMJ Case Reports Vol.15 No.1 (2022)
著者名(敬称略)
高崎 哲郎
所属
東京ベイ・浦安市川医療センター 消化器内科

抄訳

胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)は稀な疾患であり、症状も非特異的である。嚢胞性病変の形態を呈する場合、他疾患との鑑別が困難なことがあるが、近年の研究により、IPNBは胆管癌の前癌病変であることが明らかになっており、疾患概念を深く理解することは重要である。ムチンを産生するIPNBは、胆管閉塞が起こり、胆管炎を来しやすい。ムチン産生腫瘍では、他に粘液性嚢胞性腫瘍(MCN)が鑑別に挙がる。本報告では82歳の男性が心窩部痛、発熱症状により救急外来を受診した。腹部造影CT検査により、肝臓左葉外側区に35mm大の嚢胞性病変を認め、病変に連続する胆管の拡張および内部に結節を認めた。ERCP検査の際に粘液の排出も確認したために、IPNB嚢胞感染の診断に至った。高齢ではあるものの、周術期リスクは許容範囲内であったため、切除手術を実施した。病理検査ではtype1 IPNBの所見であり、一部に浸潤癌を認めた。嚢胞感染を契機に受診した症例をIPNBと診断し、早期のうちに治療することができた。

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