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2022/04/28

ビロードキンクロ(Melanitta fusca)から分離された鳥類ロタウイルスA株の特性解析:鳥類ロタウイルスの世界的拡散における渡り鳥の役割

論文タイトル
Characterization of an avian rotavirus A strain isolated from a velvet scoter (Melanitta fusca): implication for the role of migratory birds in global spread of avian rotaviruses
論文タイトル(訳)
ビロードキンクロ(Melanitta fusca)から分離された鳥類ロタウイルスA株の特性解析:鳥類ロタウイルスの世界的拡散における渡り鳥の役割
DOI
10.1099/jgv.0.001722
ジャーナル名
Journal of General Virology
巻号
Journal of General Virology,Volume 103, Issue 2
著者名(敬称略)
藤井 祐至、伊藤 直人 他
所属
岐阜大学 応用生物科学部 共同獣医学科 人獣共通感染症学研究室

抄訳

 G18P[17]遺伝子型の鳥類ロタウイルスA(RVA)がハトや一部の哺乳動物に対して病原性を示した事例が、様々な国や地域で報告されている。しかし、これらの鳥類RVA株がどのようにして世界的に拡散したのかについては、不明な点が多い。本研究では、鳥類RVAの拡散における渡り鳥の役割を明らかにするために、渡り鳥であるビロードキンクロ由来RVA RK1株の全遺伝子配列を解読し、既知の株と比較した。その結果、RK1株は、世界各地で検出されたG18P[17]株と遺伝的に近縁な関係にあることが判明し、G18P[17]株の広域伝播に渡り鳥が関与した可能性が示された。さらに、RK1株は哺乳マウスに下痢を誘発したことから、渡り鳥RVAの中には哺乳動物に対して病原性を示すウイルス株が存在することが示された。以上より、哺乳動物に病原性を有する鳥類RVA株が、渡り鳥を介して世界的に拡散する可能性が明らかとなった。

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