抄訳
食道がんは解剖学的、生物学的な特徴から治療に難渋するがんで、特に切除不能進行・再発例の予後は約10ヶ月と限られ、かつ有効な薬剤も少ない状況である。
そのような中、抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブの開発が食道がんで行われた。食道がんの2次治療例を対象としたKEYNOTE-181試験(ペムブロリズマブ vs 化学療法)において、事前に規定した集団ではペムブロリズマブの優越性は証明できなかったが、CPS10以上かつ扁平上皮癌の集団において、有望な結果が認められた。FDAは2019年7月に同集団に限り、ペムブロリズマブを承認した。また、食道がんの1次治療例を対象としたKEYNOTE-590試験(ペムブロリズマブ+2剤併用化学療法 vs プラセボ+2剤併用化学療法)において、副次的集団を含む全ての対象でペムブロリズマブ併用化学療法の優越性が証明された。この結果からFDAは2021年3月に1次治療においてペムブロリズマブ併用化学療法を承認した。
しかし未だに食道がんの予後は12ヶ月程度と限られ、さらなる予後の改善のため、扁平上皮癌を対象に、ペムブロリズマブ併用化学療法に、レンバチニブの上乗せを検証するLEAP-014試験が進行中である。また免疫チェックポイント阻害剤に関する臨床的有用性の高いバイオマーカー探索も希求されており、今後の開発が期待される。