抄訳
甲状腺機能亢進症は睡眠障害をきたすが、治療による睡眠障害の改善効果は報告されていない。一方で甲状腺機能亢進症は交感神経を活性化すること、交感神経活性化が睡眠障害をきたすことが報告されている。本研究はバセドウ病 (GD) において甲状腺機能亢進症による交感神経活性と睡眠障害の関係を解明することを目的とした。本研究は横断的検討を伴う前向き研究である。ピッツバーグ睡眠質問票を用いて22人の甲状腺機能亢進症のGD患者と20人の甲状腺機能の正常化したGD患者、30人の健常人を比較し、さらに14人の甲状腺機能亢進症の患者において治療前後での睡眠障害の変化を比較した。結果、甲状腺機能亢進症で他の2群よりも睡眠障害特に睡眠困難や睡眠効率が悪化し、交感神経活性の増強も認めた。治療により睡眠障害特に睡眠の質、睡眠困難と交感神経活性の改善を認めた。甲状腺機能亢進症が交感神経活性を増強させ、睡眠困難や睡眠の質に関連した睡眠障害をきたすことが考えられた。