抄訳
目的:腎機能異常はPAの重要な合併症である。一方、MACSでも腎障害を生ずるとの報告があるが、十分に解明されてない。そこで本研究では両疾患併発時の腎合併症リスクを検討した。結果:解析対象はJPAS/JRAS 研究に登録されたPA患者中、1 mgデキサメタゾン抑制試験(DST)が施行された1310例。DST 陽性のMACS併発群(340例)のeGFR低下、尿蛋白陽性リスクは、いずれもMACS非併発群と比べて約2倍高値だった。また、血中アルドステロン濃度(PAC)、MACSの存在は両腎合併症の独立した説明因子として選択された。さらに、対象をPAC中央値とMACSの有無で4群に再分類したところ、PACが中央値以上、MACS併発を満たす群ではeGFR低下、尿蛋白陽性リスクは PACが中央値未満、MACS非併発を満たす群と比べ、約3倍、約6倍増加した。結語:われわれは、初めてMACSはPA患者腎合併症の独立したリクス因子であること、アルドステロン分泌能が高く、MACSを併発するPAでは腎合併症リスクが特に増加すること初めて明らかにした。PA患者ではMACSの有無を精査し、MACS併発時には厳格な治療管理を行う必要がある。