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2022/06/09

運動時の代謝アトラスが明らかにする運動の時間依存的な代謝応答特性

論文タイトル
Atlas of exercise metabolism reveals time-dependent signatures of metabolic homeostasis
論文タイトル(訳)
運動時の代謝アトラスが明らかにする運動の時間依存的な代謝応答特性
DOI
10.1016/j.cmet.2021.12.016
ジャーナル名
Cell Metabolism
巻号
Volume34, Issue 2(2022)
著者名(敬称略)
佐藤章悟 他
所属
テキサスA&M大学

抄訳

身体運動に対する生体の応答の多様性は、「いつ運動を行うのか」によっても創出される。とりわけ、運動は、耐糖能、ミトコンドリア機能などの代謝機能を改善することから、各種疾患予防と治療を目的とした運動療法が一般に定着している。では、そのような代謝応答をより効果的に誘導するためには、いったいいつ運動をするのがいいのだろうか?目的に応じた適切な運動の時間の同定は、運動療法をより効果的にするだろう。したがって、本研究では、メタボロミクス解析ならびにシステム生物学的解析を用いることで、生体の各種臓器間における代謝の連携性ネットワークに対する運動の時間特異的な影響を明らかにすることを目指した。一日のうちの異なる時間に急性運動(朝運動vs夜運動)を行ったマウスの全身臓器(骨格筋、肝臓、心臓、白色脂肪組織、褐色脂肪組織、視床下部)および血液中、ならびに下肢骨格筋および肝臓に出入する動静脈血中における代謝産物を網羅的に調べた。異なる時間の運動に対する代謝産物の変動パターンの多臓器間相関性を算出することで、異なる時間帯の運動に対する生体システムレベルでの代謝応答の連動性と非連動性を明らかにした。特に、本研究を通じ、時間依存的運動時の多臓器間代謝ネットワークの構築に携わる可能性のある代謝産物が列挙された。本研究により得られた新たな知見は、「運動の時間」の重要性を再確認するだけでなく、生体システムレベルでの代謝連携性の構築を介して、運動は時間特異的に全身性の代謝機能を改善することともに健康増進へと導く可能性を提示する。

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