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2022/06/14

LAG-3は安定なペプチド-MHCクラスII複合体を認識することによりT細胞の機能を弱めて自己免疫応答およびがん免疫応答を抑制する

論文タイトル
Binding of LAG-3 to stable peptide-MHC class II limits T cell function and suppresses autoimmunity and anti-cancer immunity
論文タイトル(訳)
LAG-3は安定なペプチド-MHCクラスII複合体を認識することによりT細胞の機能を弱めて自己免疫応答およびがん免疫応答を抑制する
DOI
10.1016/j.immuni.2022.03.013
ジャーナル名
Immunity
巻号
Volume 55, Issue 5(2022)
著者名(敬称略)
丸橋拓海、岡崎 拓 他
所属
東京大学 定量生命科学研究所 分子免疫学研究分野

抄訳

免疫チェックポイント分子LAG-3は、がん免疫療法においてPD-1とCTLA-4に次ぐ有望な薬剤標的として注目されている。最近、LAG-3とPD-1に対する阻害抗体の併用療法が悪性黒色腫の治療に有効であることが臨床試験で確認され、FDAにより承認された。一方で、抑制性分子の機能解析が容易でないことなどもあり、LAG-3の基礎研究は後回しにされている。特に、どの分子がLAG-3のリガンドとして働き、LAG-3に抑制機能を発揮させるのかという基本的な問題さえ未解決である。今回我々は、安定なペプチド-MHCクラスII複合体をリガンドとしてLAG-3が抑制機能を発揮することを明らかにした。これによりT細胞の機能がLAG-3によって弱められ、自己免疫疾患の発症が抑制されるとともに、がん免疫が減弱してしまうことを示した。LAG-3の機能が発揮されるメカニズムの解明により、LAG-3を標的とした治療法の研究開発を科学的根拠に基づいて進めることが可能となり、効果的かつ安全な新規治療法の開発につながると期待される。

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