本文へスキップします。

H1

国内研究者論文詳細

日本人論文紹介:詳細

2022/06/16

MRI ADC値は血栓回収術を行った症例におけるDWI reversalに関連する(後方視的コホート研究)

論文タイトル
ADC Level is Related to DWI Reversal in Patients Undergoing Mechanical Thrombectomy: A Retrospective Cohort Study
論文タイトル(訳)
MRI ADC値は血栓回収術を行った症例におけるDWI reversalに関連する(後方視的コホート研究)
DOI
10.3174/ajnr.A7510
ジャーナル名
American Journal of Neuroradiology
巻号
Volume 43, Issue 6(2022)
著者名(敬称略)
梅村 武部、波多野 武人 他
所属
小倉記念病院 脳神経外科

抄訳

 一般的に急性期脳梗塞におけるMRI DWI高信号領域は、脳梗塞として不可逆性変化を来しているものと考えられる。そのため超急性期の主幹動脈閉塞例では、DWI高信号となっていない領域の救済目的に血栓回収術が行われる。しかし実臨床では主幹動脈再開通症例で術後DWI高信号が改善している例を時折認める。DWI 画像の高信号域はADC値による質的診断が可能である。
 本研究では、脳梗塞急性期において血栓回収術により有効再開通が得られた症例について、初回MRI におけるDWI 高信号領域が術後改善するかどうかを、術翌日のMRI DWI画像で判定した。初回DWI高信号領域のADC 値を全て測定し、術後に改善した症例とそうでない症例の間にADC値の差があるかどうかを調査した。ADC 値 (領域平均値) は 520 × 10-6mm2/s をカットオフ値とし、この値より高ければ再開通により高信号は改善し、その領域の神経学的機能も取り戻すことがわかった。
 今回の研究により、DWI 高信号領域はADC値 (領域平均値) が520 × 10-6mm2/s以上であれば、まだ不可逆性の変化を来しておらず、再開通治療による救済可能であり神経細胞のviabilityが残っていることが示唆された。

論文掲載ページへ