抄訳
【背景と目的】
頭頸部癌の画像検査による経過観察において、良性の治療後変化と再発の鑑別は臨床的に重要である。本研究の目的は正規化したdynamic contrast-enhanced MRI(DCE-MRI)とADCによる両者の鑑別の有用性を検討することである。
【患者と方法】
本研究ではDWI-ADCによる経過観察目的のDCE-MRIを受けた頭頸部癌の既往がある患者51名(25名が再発、26名が良性の治療後変化)を対象とした。 関心領域と参照領域の定量的、半定量的DCE-MRIパラメータとADCを解析した。正規化DCE-MRIパラメータと正規化DWI-ADCパラメータは関心領域を参照領域で割ることにより算出した。
【結果】
正規化した血漿の占める容積の割合(Vp)、細胞外血管外腔と血漿との間の体積移動定数(Ktrans)、曲線下面積(AUC)、wash in (WI)(nVp、nKtrans、nAUC、nWI)は再発が良性治療後変化より有意に高値であった(p = 0.003 - <0.001)。 正規化平均ADCは再発が良性治療後変化より有意に低値であった(p<0.001)。有意差のある正規化DCE-MRIパラメータ(nVp、nVe、nKtrans、nAUC、nWI)とnADCmeanの組み合わせの受信者動作特性曲線下面積は、0.97(95%信頼区間、0.93-1)であった。
【結論】
正規化DCE-MRIパラメータ、nADCmeanおよびそれらの組み合わせは頭頸部癌の再発と良性治療後変化を鑑別するのに有用であった。