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2024/08/16

細胞外の脂質代謝は線維芽細胞との相互作用を介してマスト細胞成熟とアナフィラキシー感受性を制御する

論文タイトル
Lipid-orchestrated paracrine circuit coordinates mast cell maturation and anaphylaxis through functional interaction with fibroblasts
論文タイトル(訳)
細胞外の脂質代謝は線維芽細胞との相互作用を介してマスト細胞成熟とアナフィラキシー感受性を制御する
DOI
10.1016/j.immuni.2024.06.012
ジャーナル名
Immunity
巻号
Volume 57 Issue 8
著者名(敬称略)
武富 芳隆, 村上 誠 他
所属
東京大学 大学院医学系研究科

抄訳

マスト細胞の成熟はアレルギー感受性と関連する。線維芽細胞のSCFとマスト細胞のSCF受容体(Kit)のシグナル伝達に加え、接着因子やIL-33などがマスト細胞成熟に関わることが示唆されてきたが、その分子機序は不明であった。脂質関連分子の欠損マウスの表現型スクリーニングを通じ、リン脂質分解酵素PLA2G3、PGD₂の合成酵素L-PGDSと受容体DP1、リゾリン脂質LPAの受容体LPA₁がマスト細胞成熟不全とアナフィラキシー低応答性を示すことを見出した。PLA2G3はマスト細胞から分泌され、細胞外小胞のリン脂質を分解し、線維芽細胞由来のLPA産生酵素ATXと協調してLPAを動員した。LPAは線維芽細胞のLPA₁受容体を活性化し、インテグリンによる細胞接着、IL-33シグナル、PGD₂-DP1受容体シグナル、ATX-LPA₁の発現を統括することにより、マスト細胞成熟を誘導した。このことから、本経路を標的とした創薬はマスト細胞が関連するアレルギー疾患の予防治療に有効であることが期待される。

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