抄訳
制御性T細胞(Treg)は免疫自己寛容の確立において中心的な役割を担う細胞である。Tregのマスター転写因子Foxp3は、他の転写因子や修飾酵素と相互作用することで複合体を形成し、特定の遺伝子発現を制御することが知られている。しかしながら、これら相互作用のTregにおける生理的意義はこれまで不明であった。今回我々は、転写因子Ikzf1が自身のexon 5領域(IkE5)を介してFoxp3と相互作用することを見出した。さらに、Treg特異的にIkE5を欠損させることでFoxp3とIkzf1の相互作用を阻害すると、TregはIFN-yの過剰産生を介した機能障害を示し、その結果として、致死性の自己免疫疾患の発症および強力な抗腫瘍免疫応答が引き起こされることが明らかとなった。以上の結果から、Ikzf1とFoxp3の相互作用はTregの機能維持に必須であり、今後、この相互作用を標的とした自己免疫疾患や癌に対する新たな治療法の開発に繋がることが期待される。