抄訳
食中毒の主要起因菌であるカンピロバクターは、単純反復配列の伸縮によって表層構造関連遺伝子の発現をON/OFFに切り替える「相変異」を起こす。相変異は免疫回避や宿主環境への適応に関与すると考えられているが、多数の相変異遺伝子のON/OFF組合せ(相変異型)が病原性や宿主適応に及ぼす影響については解明されていない。本菌には18~36個の相変異遺伝子が存在し、その組合せは理論上218~236通りに及ぶ。そこで本研究では、相変異遺伝子の発現状態を固定した多様かつ安定な相変異型ライブラリーを構築し、その動態を網羅的に追跡できる独自技術「PV-GenShift」を確立した。本技術を用いた選択実験から、ヒト血清やマウス腸管では特定の相変異型が選択される一方、ニワトリでは個体ごとに異なる相変異型が優勢となることを明らかにした。これらの成果は、相変異が病原性や宿主適応に重要な役割を果たすことを示すとともに、ワクチンや診断・治療法の開発への貢献が期待される。