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2017/04/17

複数のpostlabeling delayによるarterial spin-labeling MRI (ASL)を用いたもやもや病患者の無侵襲な脳血流・循環遅延評価:15O gas PET, DSC-MRIとの比較

論文タイトル
Noninvasive Evaluation of CBF and Perfusion Delay of Moyamoya Disease Using Arterial Spin-Labeling MRI with Multiple Postlabeling Delays:Comparison with 15O-Gas PET and DSC-MRI
論文タイトル(訳)
複数のpostlabeling delayによるarterial spin-labeling MRI (ASL)を用いたもやもや病患者の無侵襲な脳血流・循環遅延評価:15O gas PET, DSC-MRIとの比較
DOI
https://doi.org/10.3174/ajnr.A5068
ジャーナル名
American Journal of Neuroradiology  American Society of Neuroradiology
巻号
American Journal of Neuroradiology Vol. 38, No. 4 (696-702)
著者名(敬称略)
原 祥子、田中 洋次
所属
東京医科歯科大学 脳神経外科

抄訳

 Arterial spin-labeling MRI (ASL) は造影剤を必要とせず被曝もない無侵襲な脳血流評価法であるが,脳血流定量値が循環遅延やpostlabeling delay(PLD)に影響をうけることも報告されている。
 我々はASLを2つのPLDで撮影し,ASL-CBFとgold standardである15O-gas PET の脳血流定量値(cerebral blood flow: CBF)および循環遅延の程度(DSCのTmaxなど)との関係を検討した。
 18名のもやもや病患者の大脳半球10領域の定量値を検討したところ,ASL-CBF(PLD=1525ms)はCBFと有意な相関を示し(r=0.63; p=0.01),循環遅延の強い領域(Tmax>6.0sなど)ではCBFを過小評価する傾向があった。
 一方でASL-CBF(PLD=2525ms)は血流遅延の程度によらずCBFを過大評価する傾向にあった。 このPLDの異なる2つのASL-CBFの比は,血流遅延の程度と有意な相関を示した(PLD=2525ms/PLD=1525msのASL-CBF比 vs. Tmax: rho=0.71; p<0.0001)。  
   以上より,ASLのCBF定量性は血流遅延・PLDに影響されるものの,それを理解した上で使用すれば,無侵襲に脳血流と循環遅延の情報を得られる有用な検査である可能性が示唆された。

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