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2018/12/20

アンギオポエチン様因子2の増加は,糖尿病性腎症悪化の誘因となる

論文タイトル
Angiopoietin-Like Protein 2 Promotes the Progression of Diabetic Kidney Disease
論文タイトル(訳)
アンギオポエチン様因子2の増加は,糖尿病性腎症悪化の誘因となる
DOI
10.1210/jc.2017-02705
ジャーナル名
Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism Endocrine Society
巻号
Vol.104 No.1 (172–180)
著者名(敬称略)
石井俊史, 古屋 文彦,北村 健一郎 他
所属
山梨大学大学院医学工学総合研究部医学域内科学講座第3教室

抄訳

アンギオポエチン様因子2 (ANGPTL2)は,生活習慣病を背景とする慢性炎症により血管内皮細胞での産生が増加し,血中濃度が上昇することが知られている.本研究ではANGPTL2の発現が誘導されるメカニズムと,産生されたANGPTL2の糸球体上皮細胞(ポドサイト)への作用をin vitroで解析し,糖尿病性腎症患者を対象に腎機能障害進展を予測するバイオマーカーとしての血中ANGPTL2値の有用性を検討した. ANGPTL2蛋白の発現はエピジェネティクな制御を受け,慢性炎症やインスリン抵抗性を合併する糖尿病性腎症では,プロモーターが脱メチル化され発現が増加し,血中濃度が増加していると考えられた.さらに血中のANGPTL2はポドサイトに直接作用し,細胞骨格蛋白の局在を変化させることで糖尿病性腎症の進展に作用している可能性があり,糖尿病性腎症悪化を予測するバイオマーカーとしての有用性に加えて,新規の治療標的になりうることが示唆された.

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