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2018/10/30

オートファゴソーム形成においてAtg2-Atg18複合体はオートファゴソーム前駆体膜を小胞体に繋ぎ留める

論文タイトル
The Atg2-Atg18 complex tethers pre-autophagosomal membranes to the endoplasmic reticulum for autophagosome formation
論文タイトル(訳)
オートファゴソーム形成においてAtg2-Atg18複合体はオートファゴソーム前駆体膜を小胞体に繋ぎ留める
DOI
10.1073/pnas.1806727115
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences National Academy of Sciences
巻号
PNAS vol. 115 no. 41 10363-10368
著者名(敬称略)
小谷 哲也, 中戸川 仁 他
所属
東京工業大学 生命理工学院

抄訳

オートファジーは真核生物に広く保存された細胞内の分解機構である。オートファジーが誘導されると、分解すべき細胞内成分がオートファゴソームと呼ばれる二重膜小胞内に隔離され、リソソーム/液胞へ運ばれ、分解される。オートファゴソームの形成はオートファジーの最大の特徴であるが、その形成機構は未だに明らかとなっていない。我々は出芽酵母を用いてオートファゴソーム形成に必須のAtg2の機能解析を行った。その結果、Atg2のN末端領域とC末端領域内にオートファゴソーム形成に重要な部分があることを突き止めた。どちらも膜へ結合する機能を持っており、この2つの膜結合領域を介してAtg2が2つの人工膜小胞を繋ぎ合わせることを明らかにした。さらに、Atg2のC末端領域はAtg2と複合体を形成するAtg18のホスファチジルイノシトール 3-リン酸を含む膜への結合を促進し、Atg2-Atg18複合体のオートファゴソーム前駆体膜への結合に関わること、一方、N末端領域はAtg2-Atg18複合体が前駆体膜に結合した後、小胞体との結合に関与する可能性があることを示した。以上の結果から、Atg2-Atg18複合体はオートファゴソーム前駆体を小胞体に繋ぎ留めることで、膜の伸張を開始するというモデルを提唱した。

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