抄訳
背景:いくつかの血清マーカーが肺サルコイドーシスの胞隔炎や疾患の進行を反映することが報告されているが、それらを比較検討した報告はない。 目的と方法:43例の肺サルコイドーシス患者を対象として、血清マーカーが胞隔炎を反映するか、診断時の血清マーカーが2年後の肺野陰影の増加の予測因子となるかについて検討した。血清マーカーは血清アミロイド蛋白A、可溶性interleukin-2受容体(sIL-2R)、リゾチーム、アンジオテンシン変換酵素およびKL-6を用いた。解析には気管支肺胞洗浄液(BALF)中の細胞分画や胸部単純X線写真などを用いた。 結果:肺野に陰影を有する患者では、有さない患者と比較して血中のsIL-2R、リゾチーム、KL-6、BALF中の総細胞数、リンパ球数が有意に高値を示した。さらに、血中sIL-2R、リゾチーム、KL-6は BALF中の総細胞数、リンパ球数、CD4リンパ球数と正の相関を示した。肺野陰影の増加の予測因子に関する検討においては、単変量解析では診断時の血中sIL-2R、リゾチーム、KL-6およびBALF中リンパ球数が陰影の増加と関連していたが、多変量解析では診断時のKL-6のみが陰影の増加と関連していた。 結語:血中sIL-2R、リゾチーム、KL-6は肺サルコイドーシスの胞隔炎を反映することが示唆された。診断時のKL-6は肺サルコイドーシスの肺野陰影の増加の予測因子となることが示唆された。