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2012/04/09

緑茶カテキンEGCGの多発性骨髄腫特異的なアポトーシス誘導作用は67LR/PKCδ/aSMase経路を介した脂質ラフトの会合に依存する

論文タイトル
Green tea polyphenol EGCG induces lipid-raft clustering and apoptotic cell death by activating protein kinase Cδ and acid sphingomyelinase through a 67 kDa laminin receptor in multiple myeloma cells
論文タイトル(訳)
緑茶カテキンEGCGの多発性骨髄腫特異的なアポトーシス誘導作用は67LR/PKCδ/aSMase経路を介した脂質ラフトの会合に依存する
DOI
10.1042/BJ20111837
ジャーナル名
Biochemical Journal Portland Press
巻号
April 2012 | Vol.443 | Issue 2 | 525-534
著者名(敬称略)
塚本俊太郎、立花宏文
所属
九州大学大学院農学研究院 生命機能科学部門

抄訳

緑茶カテキンEGCGは多発性骨髄腫に対して特異的にアポトーシスを誘導することが報告されたが、その詳細な作用機序は不明であった。そこで本研究では、EGCGの多発性骨髄腫特異的なアポトーシス誘導機構の解明を試みた。
 我々はこれまでにEGCGの細胞膜受容体として67-kDa laminin receptor(67LR)を発見している。そこで、EGCGのアポトーシス誘導作用における67LRの関与について検討した結果、多発性骨髄腫において高発現している67LRを介してEGCGが脂質ラフトの会合を誘導することで細胞死を引き起こすことを見出した。さらに、この作用はProtein kinase C delta (PKCδ) および acid sphingomyelinase (aSMase) の活性化により仲介されることを明らかにした。多発性骨髄腫を移植したマウス腫瘍モデルにおいてもEGCG誘導性のPKCδ/aSMase経路の活性化が観察された。以上より、67LRを介したPKCδ/aSMase/脂質ラフト会合は、EGCG誘導性の多発性骨髄腫特異的なアポトーシス誘導経路として示された。

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