抄訳
膵・胆道癌に対する膵切除後の肝動注化学療法(HAIC)の安全性を検討した。対象は、51例(術式;PD(膵頭十二指腸切除術) 29、TP(膵全摘術) 2、DP(膵尾部切除術) 20)。肝動注の方法はリザーバーを経皮的に留置し、5-fluorouracilを毎週5時間かけて持続動注し、3投1休を1コースとして実施した。1コース毎にフローチェック(F/C)を行い、合併症の有無について評価した。留置は全例で成功。肝動脈閉塞を1例(2%)、無症候性の肝動脈狭窄を10例(19.6%)で認めた。狭窄例のうち3例(5.9%)で同時性に肝膿瘍(2例)、胆汁漏(1例)を認めた。いずれもPD後の症例でHAIC開始後3ヵ月以内に出現したが、保存的加療またはドレナージにより改善した。狭窄症例のうち4例は1ヵ月の休薬により治療を再開することができた。膵切除後のHAICは、F/Cを定期的に行うことで安全に施行可能であるが、PD後では合併症に留意する必要がある。