抄訳
増殖因子により細胞膜上で活性化された増殖因子受容体は、エンドサイトーシスされてリソソームに運ばれ分解される。この受容体ダウンレギュレーションは、細胞の過増殖・癌化を防ぐ重要な調節機構である。活性化された受容体はリジン(K)63連結型のポリユビキチン化を受け、これが受容体のエンドサイトーシスを始動するシグナルとなる。本論文では、ユビキチン結合モチーフUIMをもつ新規タンパク質ファミリーAnkrd13 A, B, Dの細胞機能の解析を行った。ヒト培養細胞を上皮細胞増殖因子EGFで刺激すると、細胞膜上でAnkrd13がUIMを介してEGF受容体に結合した。また、Ankrd13はエンドサイトーシス・シグナルとして働くK63ポリユビキチン鎖と選択的に結合した。そして、Ankrd13やそのドメイン欠失変異体の過剰発現はEGF受容体のエンドサイトーシスを阻害した。以上から、Ankrd13はUIMを介して細胞膜上でK63ポリユビキチン化された増殖因子受容体を認識し、そのエンドサイトーシスを制御することが示された。