抄訳
スピクラという乳癌画像診断において重要な微細構造について16ch breast coil併用 3.0-T MRIと4ch breast coil併用1.5-T MRIにおいて、その描出能について比較検討した。対象はマンモグラフィで明らかなスピクラ腫瘤を示して乳腺MRIを施行された乳癌120症例(3.0-T MRI71症例、1.5T- MRI49症例)。乳腺MRI読影経験豊富な3人の放射線専門医が判定した。3.0-T MRIは両側横断像と片側矢状断像、1.5T- MRIは両側横断像について、各々スピクラの描出能について視覚的に比較した。結果はスピクラの描出能においてultrathin slice撮像法を用いた3.0-T MRIの片側矢状断像が3.0-T MRIの両側横断像と1.5-T MRIの両側横断像に比し統計学的に有意に優れていた(p = 0.009 and p = 0.004)。1cm未満の小病変のスピクラ描出能においても、ultrathin slice撮像法を用いた3.0-T MRIの片側矢状断像が、1.5T -MRIの両側横断像に比し統計学的に有意に優れていた(p = 0.029)。以上より、脂肪抑制併用両側乳房撮像法を用いて高い時間分解能を保持したままin-planeとthrough-plane において高分解能撮像が容易にできる3.0-T MRIはスピクラという乳癌画像診断において重要な微細構造の描出において1.5-T MRIより優れることが証明された。よって3.0-T MRIから得られる超高分解能画像は乳腺MRIの質的診断能の向上に寄与すると考えられるが、3.0-T MRIの能力を十分に生かすためには我々の用いた撮像プロトコルのように創意工夫が必要である。