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2012/06/21

Fruitlessタンパク質は拮抗的な作用を持った二つのクロマチン因子を動員することによって個々のニューロンに性的二型を作り出す

論文タイトル
Fruitless Recruits Two Antagonistic Chromatin Factors to Establish Single-Neuron Sexual Dimorphism 
論文タイトル(訳)
Fruitlessタンパク質は拮抗的な作用を持った二つのクロマチン因子を動員することによって個々のニューロンに性的二型を作り出す
DOI
10.1016/j.cell.2012.04.025
ジャーナル名
Cell Cell Press
巻号
Volume 149, Issue 6, 1327-1338, 8 June 2012
著者名(敬称略)
伊藤弘樹、山元大輔 他
所属
東北大学 大学院生命科学研究科 生命機能科学専攻 脳機能解析構築学講座 脳機能遺伝分野

抄訳

ショウジョウバエのfruitless(fru)遺伝子は推定転写因子をコードし、神経回路に性的二型を生み出すことを通じて雄の性行動の生成に寄与する。今回、Fruが転写補助因子のBonus (Bon, 哺乳類TIF1相同分子)と複合体を形成し、Bonはさらにクロマチン制御因子のHDAC1(Histone deacetylase 1)またはHP1a(Heterochromatin protein 1a)を動員することが明らかとなった。HDAC1は形態の性的二型を示すmALニューロン群の雄化を促進し、HP1aはそれに拮抗する。すなわち野生型雄でHDAC1をノックダウンすると、fruの機能低下型変異体と同様、mALニューロン群中に雌型の細胞が出現し、一方fru変異体でHP1aをノックダウンすると雄型の細胞が増加した。雌雄中間型の細胞はいずれの場合も出現しなかった。つまりこれらのタンパク質は、個々のニューロンの性的特徴を全か無か式に切り換えるスイッチとして働く。

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