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2012/07/30

肥満に伴う高レプチン血症が,肝において少量のエンドトキシンに過剰反応をきたし,非アルコール性脂肪肝炎の進展に関与する

論文タイトル
Hyperresponsivity to Low-Dose Endotoxin during Progression to Nonalcoholic Steatohepatitis Is Regulated by Leptin-Mediated Signaling 
論文タイトル(訳)
肥満に伴う高レプチン血症が,肝において少量のエンドトキシンに過剰反応をきたし,非アルコール性脂肪肝炎の進展に関与する
DOI
10.1016/j.cmet.2012.05.012
ジャーナル名
Cell Metabolism Cell Press
巻号
Cell Metabolism, Volume 16, Issue 1, 44-54, 3 July 2012
著者名(敬称略)
今城健人、中島淳 他
所属
横浜市立大学消化器内科学教室

抄訳

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)発症には腸管由来エンドトキシンの関与が示唆されているが詳細なメカニズムは不明である。我々は野生型マウスを用いて,健常肝では炎症や線維化を来さない少量のエンドトキシンに対しても,高脂肪食誘導下脂肪肝ではエンドトキシンの共受容体であるCD14の発現がクッパー細胞で亢進することによりその反応性を亢進させ,著明な炎症及び線維化を惹起することを示した。また,レプチン欠損肥満マウス(ob/ob)では著明な脂肪肝を呈するにも関わらず肝におけるCD14発現が著明に低下することから,レプチンが肝クッパー細胞におけるCD14発現に関与することが示唆された。ヒトにおける検討でもNASHでは血清レプチン値及び肝CD14発現が増加しており,かつ両者には有意な正の相関を認めていた。これらの結果から,肥満に伴う高レプチン血症が少量エンドトキシンに対する肝クッパー細胞の反応性を亢進し,炎症性サイトカインなどを介してNASH病態を進展させる可能性を示唆した。

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