抄訳
細胞内寄生性病原体に対する宿主応答では、インターフェロン-γ (IFN-γ) が最重要のサイトカインである。自然免疫担当細胞がIFN-γで刺激されると、約2000種類の遺伝子群が誘導され、その中に免疫関連65kD GTP分解酵素 (GBP) と呼ばれる一群が含まれている。マウスではGBPは非常に相同性の高い13個からなるファミリーを形成しており、6個と7個がそれぞれ3番と5番染色体に分かれて並んで存在している。3番染色体にあるGBP(GBPchr3)を染色体工学で欠損させたマウスを作製し、細胞内寄生性病原体の一つである原虫「トキソプラズマ」に対する宿主応答を解析した。GBPchr3欠損マウス及び細胞は野生型マウスと比較して、トキソプラズマ感染に対する感受性が高まっていた。このことから、IFN-γ依存的にGBPが誘導され、病原性原虫トキソプラズマに対する防御因子として機能することが明らかとなった。