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2012/10/02

エクト型酵素CD38の細胞表面における四量体形成は触媒活性と脂質ラフトへの局在化に必要である

論文タイトル
Tetrameric Interaction of the Ectoenzyme CD38 on the Cell Surface Enables Its Catalytic and Raft-Association Activities 
論文タイトル(訳)
エクト型酵素CD38の細胞表面における四量体形成は触媒活性と脂質ラフトへの局在化に必要である
DOI
10.1016/j.str.2012.06.017
ジャーナル名
Structure Cell Press
巻号
Structure, Volume 20, Issue 9, 1585-1595, 02 August 2012
著者名(敬称略)
横山三紀 他
所属
東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 生体支持組織学系 生体硬組織再生学講座 硬組織病態生化学分野

抄訳

リンパ球表面抗原CD38は哺乳類細胞における主要なNAD分解酵素であり、サイクリックADPリボースの産生を介して細胞内カルシウム動員に関与する。また脂質ラフトに局在化して細胞増殖や細胞死のシグナルを制御する。CD38は細胞表面上で四量体を形成することが知られていたが四量体の構造と機能的な意義は不明だった。本論文では部位特異的架橋反応と結晶構造解析を組み合わせてマウスCD38の細胞表面での多量体化に関与する3種類の接触面 (I-III) を明らかにした。接触面 (I) により膜の直上で二量体化したCD38が、接触面 (II, III) によりさらに組み合わされて四量体が形成される。コアとなる二量体同士が結合することはCD38の触媒活性と脂質ラフトへの局在化のどちらにも必要であった。CD38の糖鎖付加は四量体の自己重合を抑制していることが示唆された。四量体形成はCD38の多彩な分子機能の構造基盤であると考えられる。

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