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2012/10/04

卵丘細胞卵複合体の膨潤は、EGF like factor-Calpain活性を介した細胞遊走によって引き起こされる

論文タイトル
EGF-Like Factors Induce Expansion of the Cumulus Cell-Oocyte Complexes by Activating Calpain-Mediated Cell Movement 
論文タイトル(訳)
卵丘細胞卵複合体の膨潤は、EGF like factor-Calpain活性を介した細胞遊走によって引き起こされる
DOI
10.1210/en.2012-1059
ジャーナル名
Endocrinology Endocrine Society
巻号
Endocrinology August 1, 2012 vol. 153 no. 8 3949-3959
著者名(敬称略)
川島一公、島田昌之 他
所属
広島大学生物圏科学研究科 生物資源科学専攻

抄訳

哺乳類の卵は、多層の卵丘細胞に覆われ、卵丘細胞・卵複合体 (COC) を形成している。排卵過程において、COCは、EGF like factor刺激によりヒアルロン酸を主とした細胞外マトリックス (ECM) を卵丘細胞間に蓄積し、その複合体の体積が増大する(この現象を膨潤と呼ぶ)。しかし、ECMを蓄積するスペースを得るために、結合していた細胞が脱接着し、移動する必要があると推察されるが、これまで全く検討されていない。そこで、ガン細胞の脱接着・遊走を司るプロテアーゼであるCalpain1, 2に着目し、卵丘細胞での発現と活性化、その役割について検討した。その結果、卵丘細胞ではCalpain2が発現し、排卵刺激後にEGF-like factor-EGFRによるCa2+上昇とERK1/2の活性化依存的に酵素活性が上昇していた。標的タンパク質であるPaxillinやTalinの分解も、排卵刺激後に検出され、PaxillinとCalpain2においては細胞間結合部位と細胞突起 (Bleb) 形成の起点特異的に検出された。このBleb形成は、Calpain inhibitorで抑制され、その結果、Calpain inhibitor処理により卵丘細胞の脱接着と遊走が認められず、COC膨潤と排卵が有意に抑制された。以上の結果から、EGFR-Calpain2による卵丘細胞の脱接着・細胞遊走がCOC膨潤による排卵に必須であることが明らかとなった.

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