抄訳
脳内において神経細胞を取り囲むように存在するグリア細胞は、その数が神経細胞を凌ぎます。通常、グリア細胞は神経細胞の信号伝達をサポートすると考えられています。しかし、てんかんや脳梗塞などの脳疾患、あるいは脳挫傷などの外傷により脳がダメージを受けると、グリア細胞は「通常型」から「病態型」へと姿を変えて神経細胞を保護する機能を獲得します。このような変化が起こるメカニズムには不明な点が多く残されていますが、私たちは、そのメカニズムの一端を明らかにしました。グリア細胞内のカルシウム濃度の変化が、通常型から病態型への変化と神経細胞を保護する作用を獲得するために重要であることが分かりました。