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2014/03/26

ヤギにおいて生殖制御中枢を促進する嗅覚分子の同定

論文タイトル
Identification of an Olfactory Signal Molecule that Activates the Central Regulator of Reproduction in Goats
論文タイトル(訳)
ヤギにおいて生殖制御中枢を促進する嗅覚分子の同定
DOI
10.1016/j.cub.2014.01.073
ジャーナル名
Current Biology Cell Press
巻号
Volume 24, Issue 6, 681-686, 27 February 2014
著者名(敬称略)
村田健、武内ゆかり 他
所属
東京大学大学院農学生命科学研究科 応用動物科学専攻

抄訳

フェロモンは、「ある個体が放出し、同種の他個体が受容したときに特定の行動や生理的変化を誘起する物質」と定義され、嗅覚系を介した同種間のコミュニケーションに重要な役割を果たしている。哺乳類では、攻撃行動や性行動などを誘起する「行動を制御するフェロモン」は同定されており、その作用機構も明らかにされてきたが、雌の性成熟を早めたり発情を誘起するなどの効果をもつ「内分泌系を制御するフェロモン」に関しては不明な点が少なくなかった。本研究では、ヤギにおいて非繁殖期の雌が、雄の匂いを感じることで排卵と発情が誘起される「雄効果」に着目し、生殖制御中枢に促進的に作用するフェロモンとして、4-ethyloctanalという新奇の揮発性化合物を同定した。この化合物は、雄ヤギの頭部より放出される多くの物質の中から、雌ヤギにおける脳の生殖制御中枢活動をリアルタイムで観測できるバイオアッセイ法によって同定された。雌における生殖制御中枢活動の促進を明瞭に示すフェロモンの同定は、哺乳類では本成果が初めてであり、今後は本知見をもとに、フェロモンを用いた家畜の繁殖制御方法の開発などへの展開が期待される。

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