抄訳
シアノバクテリアの概日リズムは、KaiA、KaiB、KaiCとATPによりin vitroで再構成でき、KaiCのリン酸化状態は約24時間周期で振動する。KaiCは2つのATPaseドメインCI、CIIから成り、CIIは自己リン酸化、自己脱リン酸化活性を併せ持つ。KaiCの脱リン酸化はリン酸化の逆反応を介して起こる。KaiC上のリン酸基はまずADPに転移しATPが合成される。次にATP加水分解により反応が終結する。このことからリン酸化リズムは、自己リン酸化の正、逆両反応の繰り返しにより生じると考えられる。本研究では、KaiAとKaiBはKaiC結合ヌクレオチドを制御することを明らかにした。KaiCは主にADP結合型として存在するが、KaiA はADPの放出とATPの取り込みを促進し、KaiCをATP結合型に変換する。KaiA、KaiB共存下では、KaiBは周期的にKaiAを阻害し、KaiCのヌクレオチド結合状態は概日リズムを示す。これらの結果は、KaiA、KaiBが正、逆両反応を基質供給のレベルで制御していることを示唆する。