抄訳
Death-associated protein kinase 3 (DAPK3)は別名zipper-interacting kinase (ZIPK)としても知られるセリン・スレオニンキナーゼで、その主たる機能は細胞死や平滑筋収縮の調節であることが報告されている。加えて、我々のグループはこれまでにDAPK3の蛋白質発現が自然発症高血圧ラット(SHR)の血管組織で増加し、血管の炎症性反応を促進することで高血圧症の進展に関わることを報告してきた。本研究では、高血圧進展に関わる他の重要な病態プロセスである血管平滑筋の増殖・遊走に及ぼすDAPK3の影響をin vitro, ex vivo, in vivoにおいて検討した。その結果、DAPK3は血小板由来増殖因子PDGF-BBによるp38/HSP27シグナルの活性化を介して平滑筋細胞の増殖・遊走と新生血管内膜の形成を促進することを明らかにした。本研究結果からDAPK3は高血圧症治療に対する新たな分子標的となる可能性が示唆された。