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2014/07/25

コフィリン分子のアクチン線維への協同的結合の超解像イメージング

論文タイトル
Single-molecule imaging and kinetic analysis of cooperative cofilin?actin filament interactions
論文タイトル(訳)
コフィリン分子のアクチン線維への協同的結合の超解像イメージング
DOI
10.1073/pnas.1321451111
ジャーナル名
Proceedings of the National Academy of Sciences National Academy of Sciences
巻号
2014 111(27) 9953-9958; published ahead of print June 23, 2014
著者名(敬称略)
早川 公英、榊原 正太郎、曽我部 正博、辰巳 仁史
所属
名古屋大学大学院 医学系研究科 細胞情報医学専攻 細胞生物物理学・イメージング生理学、 メカノバイオロジーラボ

抄訳

ヘモグロビンは4つのサブユニットからなり、各サブユニットに1分子の酸素が結合する。一つの酸素分子が結合すると別(アロ)のサブユニットの構造変化を引き起こして、さらなる酸素分子の結合が容易になる。このような促進反応はアロステリック効果として知られ、その仕組みを知るために膨大な研究が行われてきた。しかしアロステリック効果はタンパク質のサブユニットスケールの微小空間で起きる現象なので、その反応過程を溶液中で直接観察した例はない。タンパク質アクチンの重合により形成されるアクチン線維にアクチン調節タンパク質コフィリンが結合する。このコフィリンの結合には正の協同性があり、コフィリンの結合によるアクチン線維の構造変化がこの協同性を生むと考えられている。この研究では超高解像蛍光顕微鏡を用いてアクチン線維へのコフィリン分子の結合が更なるコフィリン分子の結合を促進することを示し、それらの結合位置を超解像測定してコフィリンの結合で結合促進が生じる距離、すなわちアロステリック効果が到達する距離を世界に先駆けて明らかにした。また、コフィリン結合部位でのアクチン線維の揺らぎを分析し、コフィリンの結合による協同的結合促進(アロステリック効果)の分子メカニズムの一端を明らかにした。

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