抄訳
高拡散,低粘性の超臨界流体二酸化炭素(SCCO2)を移動相として用いる超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)は,高分離,ハイスループットなど分離分析技術として多くの利点を有する.また,SFCはSCCO2が低極性であることから疎水性化合物の分離に好適であるとされてきたが,最近の研究で親水性化合物の分析にも利用できることが示され注目を集めている.代謝物の網羅的な解析を目的とするメタボロミクスにおいては,幅広い性質の化合物が対象となるだけなく,夾雑物が混在する試料において多成分の一斉分析が必要となる場面も少なくない.そのため,クロマトグラフィーによる分離の重要性は高く,また選択性及び感度の高い質量分析計(MS)による検出も必要となっている.そこで本稿では,SFCの分離技術としての基本的な特性を説明するとともに,SFC/MSを用いた代謝物分析手法の開発とその応用例について紹介する.