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2015/01/26

マウスアルデヒドデヒドロゲナーゼALDH3B2はC末端の2つのトリプトファン残基と脂質修飾を介して脂肪滴に局在する

論文タイトル
Mouse aldehyde dehydrogenase ALDH3B2 is localized to lipid droplets via two C-terminal tryptophan residues and lipid modification
論文タイトル(訳)
マウスアルデヒドデヒドロゲナーゼALDH3B2はC末端の2つのトリプトファン残基と脂質修飾を介して脂肪滴に局在する
DOI
10.1042/BJ20140624
ジャーナル名
Biochemical Journal Biochemical Society
巻号
Vol.465 No.1 (79?87)
著者名(敬称略)
北村 拓也, 木原 章雄 他
所属
北海道大学大学院薬学研究院生化学研究室

抄訳

生体には多数のアルデヒド分子が存在する。アルデヒド分子は一般的に反応性が高いため,蓄積すると毒性を示す。アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)は,アルデヒドを毒性の低いカルボン酸へと変換する酵素である。マウスには21種のALDHが存在するが,本報告ではそれらのうちALDH3サブファミリーメンバー(ALDH3A2,ALDH3B1,ALDH3B2,ALDH3B3)が,長鎖アルデヒド(炭素数10-20)を除去する役割があることを明らかにした。これらの基質特異性は類似していたが,細胞内の局在場所は異なっていた(ALDH3A2,小胞体;B1とB3,細胞膜;B2,脂肪滴)。ALDH3A2は膜貫通領域により小胞体膜に局在するが,ALDH3B1-3には膜貫通領域が存在しない。その代わりに,これらはC末端が脂質修飾(ゲラニルゲラニル化)されることで膜局在をしていた。さらに脂質修飾部位近傍の正電荷アミノ酸残基がALDH3B3の細胞膜局在,2つのトリプトファン残基がALDH3B2の脂肪滴局在を規定していた。生体膜を構成する脂質分子には不飽和結合が存在するため,酸化ストレスによりアルデヒドへと変換される。様々なオルガネラで生じたこれらの脂質由来アルデヒドを除去するために細胞内には異なった局在性を示す複数のALDHが存在すると考えられる。

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