抄訳
尿管癌では、術前CTによるT因子診断が治療方針の決定に重要である。今回、術前CT診断にて、T2以下 / T3以上の選別を目的とした新たな診断基準を提案し、その臨床的妥当性を検討した。尿管癌30例(手術・病理診断例)の術前CTを、3名の放射線診断医(腹部を専門としない放射線科医)で読影実験を行い、提案基準の有無で診断能がどのように変化するかについてROC解析を行った。提案するCT基準では、mass形成と索状影の有無により病変を6 patternに分類した。「提案基準あり」及び「提案基準なし」でのROC曲線におけるArea under the curve (AUC)は、それぞれ0.54 (SD 0.09)、0.73 (SD 0.08)であり、提案基準を用いた方が診断能は統計学的に有意に高かった(p<0.01)。提案基準がT因子診断の精度向上に寄与する可能性が示唆された。