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2016/02/16

クロマチン結合を介した新規のRCC1核内局在機構

論文タイトル
Chromatin binding of RCC1 during mitosis is important for its nuclear localization in interphase
論文タイトル(訳)
クロマチン結合を介した新規のRCC1核内局在機構
DOI
10.1091/mbc.E15-07-0497
ジャーナル名
Molecular Biology of the Cell American Society for Cell Biology
巻号
Mol. Biol. Cell January 15, 2016 vol. 27 no. 2 371-381
著者名(敬称略)
古田満衣子, 深川 竜郎 他
所属
大阪大学大学院生命機能研究科

抄訳

小分子GTPaseであるRanと関連するRCC1は、細胞周期の各時期において多様な機能を持つと考えられている。RCC1は、機能に関連した各種ドメインを持つが、それらの生物学的な役割については不明な点も多い。我々は、各ドメインの生物学的な役割を解明する目的で、RCC1のノックアウト細胞を樹立して、その細胞へ各種RCC1変異体を導入することで各ドメインの生物機能を解析した。その結果、RCC1のクロマチン結合ドメインも核内局在シグナルもRCC1の持つ核膜形成能には必須でないことが判明した。しかしながら、その両ドメインを欠失させるとRCC1の核膜形成能は失われた。両ドメインを欠失したRCC1に人工的な核局在シグナルを付加させることで、核膜形成能が復帰したことから、我々は、「RCC1の核膜形成能には、RCC1自身の核内局在が必須である」ことを証明した。ところが、RCC1自身の核内局在シグナルを欠損させても、RCC1自身は核内に局在して核膜を形成できることから、クロマチン結合ドメインが核内局在にも関与していると考えた。そこで、核内局在シグナルを欠いたRCC1を細胞へ導入し、その過程を詳細に解析すると、導入直後、RCC1は細胞核には局在しないが、細胞分裂期にクロマチンと結合した後、核内へ移行することが判明した。これらの結果は、クロマチン結合を介した新規のRCC1核内局在機構の発見を意味している。

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