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2016/03/25

哺乳類の睡眠時間におけるカルシウム依存的過分極の関与

論文タイトル
Involvement of Ca2+-Dependent Hyperpolarization in Sleep Duration in Mammals
論文タイトル(訳)
哺乳類の睡眠時間におけるカルシウム依存的過分極の関与
DOI
10.1016/j.neuron.2016.02.032
ジャーナル名
Neuron Cell Press
巻号
Neuron Online March 17
著者名(敬称略)
多月文哉 上田泰己 他
所属
東京大学大学院医学系研究科 機能生物学専攻 薬理学講座 システムズ薬理学分野

抄訳

睡眠を制御する因子は主にハエを用いたフォワードジェネティクスによる探索で、体内時計に関係した遺伝子を中心に複数特定されてきた。しかしながら、体内時計とは別に睡眠時間を直接制御している遺伝子(睡眠時間制御因子)は未解明のままであった。フォワードジェネティクスは表現型から遺伝子に遡るため、多くの時間とコストを要し、従来の睡眠測定法も脳波測定用の電極を頭蓋骨に装着する手術が必要であるため、侵襲が大きく、多くの時間とコストがかかっていた。近年、本研究グループは、遺伝子と表現型を直接結びつけることができるリバースジェネティクスに注目し、高速に遺伝子改変動物を作製することができる技術(トリプルCRISPR法)と、高速に睡眠表現型を解析することができる手法(SSS)を開発した(Sunagawa et al., 2016)。今回、本研究グループは神経細胞のコンピュータシミュレーションにより睡眠時間制御因子を絞り込み、トリプルCRISPR法で作成された候補遺伝子のKOマウスの睡眠をSSSで測定することで検証を行った。その結果、Cacna1g, Cacna1h (電位依存性カルシウムチャネル)、Kcnn2, Kcnn3 (カルシウム依存性カリウムチャネル)、Camk2a, Camk2b (カルシウムイオン・カルモジュリン依存性プロテインキナーゼII)KOマウスが顕著な睡眠時間の減少を示す一方で、Atp2b3 (カルシウムポンプ)ノックアウトマウスは顕著な睡眠時間の増加を示し、カルシウムイオン関連経路が睡眠時間制御因子の役割を担うことを明らかにした.

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