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2016/09/15

日常生活の光曝露と肥満リスク:平城京コホートスタディ縦断分析

論文タイトル
Ambient Light Exposure and Changes in Obesity Parameters: A Longitudinal Study of the HEIJO-KYO Cohort
論文タイトル(訳)
日常生活の光曝露と肥満リスク:平城京コホートスタディ縦断分析
DOI
10.1210/jc.2015-4123
ジャーナル名
Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism Endocrine Society
巻号
JCEM Vol.101 No.9 (2016) pp.3539?3547
著者名(敬称略)
大林 賢史 他
所属
奈良県立医科大学 地域健康医学講座

抄訳

先行疫学研究で夜間光曝露と肥満の関連が示唆されているが、これまでの結果は横断分析に限られていた。本研究の目的は日常生活の光曝露とその後の肥満指標の変化の関連を縦断的に明らかにすることである。対象者は平城京コホートスタディのベースライン調査参加者1110人(平均年齢71.9歳)と追跡調査参加者766人(追跡期間中央値 21ヵ月)である。ベースライン調査で日常生活の光曝露を客観的に2日間持続測定し、ベースライン時と追跡時の腹囲身長比(WHtR)および体格指数(BMI)を計測した。年齢や性別、カロリー摂取量、身体活動量、睡眠覚醒指標などの潜在的交絡因子を調整した多変量混合線形回帰分析モデルで、就寝前4時間から夜間就寝中の光曝露量が多いことが、その後のWHtRの増加と有意に関連していた。また起床後4時間で500ルクス以上の光曝露時間が長いこと、夜間就寝中に3ルクス未満の時間が長いことが、その後のWHtRの減少と有意に関連していた。これらの結果はBMIを肥満指標とした場合でもほぼ同様であった。夜間就寝中の光曝露量が多い群(平均照度3ルクス以上)では、少ない群(3ルクス未満)に比べて、その後10年間でWHtRが10.2%、BMIが10.0%増加すると推定された。本研究の結果から、就寝前4時間から夜間就寝中の光曝露量は多いほど、起床後4時間の光曝露量が少ないほど、WHtRやBMIなどの肥満指標が増加することが明らかになった。肥満予防に最適な光環境を検討するために今後の介入研究が必要である。

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